小説

強がりな女の子〜絢香の誤算〜

人物紹介
絢香(あやか)
梓にお願いをされ、順番を譲った女の子。凛たち3人の近くの女子大の学生。

雪菜(ゆきな)
楓のお漏らしを目の前で見てしまった女の子。つまり、楓が決壊した時に個室にいた女の子。

ーーー「えっ」
目の前には絢香がいると思っていた。
なんでってあたしが入った時にトイレにいたのは絢香だけだったから。

個室を出ると、目の前にはしゃがんで水たまりを作っている女の子とその子を支えている女の子がいた。
たぶん同じコートで練習していた子だ。

ちらっとその後ろを見ると絢香がびっくりした顔で立っている。
また視線を戻すと、しゃがみこんだ女の子が顔覆って泣き出した…。

楓の決壊の後、約15分ほどが経っていた。

びしょびしょになってしまった楓に着替えが必要だったため、梓は凛に電話をして、
もともと着ていた私服を持ってきてもらうようにお願いし、
その間、絢香が泣き止まない楓の手を握り立たせ、雪菜が個室の中に流れてきてしまっているおしっこを踏まないように、トイレの中からペーパーを持ってきて、二人掛かりで拭いてあげていた。

楓はスポーツドリンクをたくさん飲んでいたので、濃いおしっこではなかったが、
それでもやっぱり匂いはある。
こんなに至近距離で人のおしっこの匂いを嗅ぐのは2人にとって初めてだった。

ちょうど楓の体から水滴が取れたかと思われる13分後。
息を切らした凛がトイレに到着し、びしょびしょになってしまった個室の惨状を見ると、
トイレの隅に楓を手招きする。
そして梓の見張りの元、トイレの隅での着替えが始まったのだった。

「じゃもうあたしたちいきますね」
遠慮がちな声がトイレにこだまする。絢香だった。
そわそわと落ち着きがなく足をすり合わせている。

「あっっ」梓と楓はハッとする。
そして個室をチラッと見る。
びしょびしょになってしまった個室。
しかも和式トイレ。

どんなに切羽詰まっていても使うのをためらってしまうような状態だった。

「あっ。まだ余裕あるんで大丈夫です。じゃこれで」
さっとトイレを出る絢香。突然の絢香の行動にびっくりしたようについていく雪菜。

梓と楓につられて凛も申し訳ない空気を出すことしかできなかったー。

ーー「もうっなんなのよ!」
絢香が歩いていく。

「…」
何も言えないまま、半歩離れて雪菜がついていく。
ふたりの向かう先には駐輪所があった。

ふたりはこのテニスコートまで、自転車で来ていた。
他にも一緒に練習をしていたメンバーはいたのだが、大学の近くでひとりぐらしをしているふたりは特に仲が良く、そして駅のトイレを使えないという共通点があったからあの公衆トイレに入ったのだ。

いや、正確には絢香にとっては、入ろうとした。という結末になってしまったが。

ふたりは自転車を見つけ、駐輪所を後にし、自転車に乗る準備をする。

その時にこの前開店したばかりのマクドナルドが見えた。

「あっマック」
開店したばかりで大繁盛しており、外まで列できていた。
雪菜も追いつき、
「あっオープンしたんだね!」
そしてチラッと時計を見た後に絢香を見ながら「絢ちゃんトイレしとく?」と聞いてきた。

「ん〜まだ平気!大学で行くよ」
先に絢香が自転車にまたがる。
そっとあそこが塞がれた気がして、絢香はほっとため息をつく。

「さっすがー!じゃいこ!」
大学まで自転車で15分。絢香を先頭に自転車を漕ぎ出した。

実は絢香はおしっこを我慢できる量が多い。
雪菜もそれを知っているからそこまで心配はしていなかったんだろう。

朝にトイレに行けば夕方、下手すると夜ご飯の前までおしっこをしないこともある。
ただ、それでも今の絢香は切羽詰まっていた。

今日最後におしっこをしたのはお昼ご飯を食べた後。
実に5-6時間前だ。
普段の絢香ならそのぐらいは全然問題なく我慢ができる。
ただ、今日は違った。少しいや、けっこう不安だった。

テニスの練習中に飲んだスポーツ飲料/一度はトイレをするつもりでいたこと
雪菜のおしっこの音/楓のお漏らし・おしっこの匂い…
今のコンディションは最悪だった。

本当なら雪菜に待ってもらってマクドナルドでおしっこをしてきたかった。
だけど今日は雪菜にとって大切な日。
彼氏との記念日なのだ。

早く大学に帰り、シャワーを浴び、化粧を直してデートに行く。
雪菜は一刻も早く帰りたいはずだ。
ただでさえ楓のお漏らしの処理を手伝ったせいで時間が押してしまっている。

これ以上雪菜を待たせるわけにはいかなかった。

10分が経過した。ここまで何回か小さな波が来たが、サドルで抑えているおかげでちびることもなく、
スイスイとこれている。ひとつ言うとすれば膀胱の主張が激しくなったことぐらいか。
これならなんとか間に合いそうだなと絢香が少し安心したところで、それはやってきた。
正確には見えてきた。

坂。
しかもすごく急な坂。

絢香たちの大学は高い土地にある。
だからテニスコートに来る時は気持ちよく風を切ってこれるのだが、
帰りは逆。いつも立ち漕ぎをして大汗をかきながら帰るのだ。
だからこそ、絢香たちはテニスコートでシャワーを浴びないのだ。
「これ…」
絢香は考える。
早く帰りたい。そしておしっこがしたい。
そのためには立ち漕ぎをしなきゃいけない。
でも立ち漕ぎをするとあそこに当たってくれているサドルが離れてしまう。
しかも力を入れるけど、膀胱に余計な力はいらないかな…

不安から絢香のスピードが遅くなる。
「絢香ー?どした?」
すぐ後ろを走っている雪菜が聞いてくる。

「なんでもない!」
あー!もうこうなったらしょうがない!ここで我慢できないから立ち漕ぎできないなんていうの恥ずかしすぎるし、大丈夫な方にかけてやってみよう!
絢香はまたスピードを上げ、そして腰もあげて立ち漕ぎを始めた。

「うっっっ」
腰を上げた瞬間から押し寄せるおしっこの波。
今までの比じゃない。

ジワッッ。

キキッッー。
利き手でブレーキを握り、左手で股間を押さえながら絢香は止まった。
とてもじゃないが立ち漕ぎなんてできない。

絢香は何も言わずに、片手で自転車のハンドルを持って、片手で股間を押さえながら、
内股で坂を上り出した。

すぐに雪菜が追いついて来る。
「絢香っ大丈夫?もうきつい?」
心配そうに聞いてくる。

「うん…ごめんちょっと漕ぐのは無理そう。先いっても大丈夫だよ。」
絢香は精一杯強がってみせた。
そうでなければ泣いてしまいそうだから。
こんな恥ずかしいところを友達に見られて、女の子として悲しくないはずがなかった。

ちょっと待っててー。
雪菜はそう言い残すと自転車に乗ると坂をすごいスピードで登って行った。

ジワジワッッ
またおしっこが漏れた。
もうダメかもしれない。雪菜も行っちゃったしもう諦めちゃおうかな。今なら誰にも見られないし。。

「絢香っっ!」
声が聞こえる。
顔を上げると涙で霞んだ視界でも雪菜が走ってくるのが見えた。
自転車は少し上の空き地に乗り捨ててある。

「自転車貸して!」
絢香のところに来ると同時に雪菜は絢香から自転車を奪い取る。
そしてすごいスピードで空き地に向かい、乗り捨て、また走って帰ってきた。

「ごめんね。さっきあたしが急かしちゃったせいだよね。もう大丈夫だから一緒に大学まで頑張ろう。」
絢香はもう両手であそこを押さえてしまっている。

雪菜はそっと絢香の腕を取ると、坂道をそろそろと歩き出した。

自転車を乗り捨ててから5分。
やっと大学が見えてきた。
絢香はもうどうにも我慢できないらしく、おしっこが足を伝ってしまっている。
それでもまだ諦めずに、必死に歩いてる。

大学の敷地内に入る。絢香はそこでやっと顔を上げた。一番近くのトイレはすぐそこだ。
後1分。1分我慢できればトイレでおしっこができる。全神経を股間に集中させ耐える。
そのままそろそろと校門をくぐり抜ける、一番近いトイレ、つまり校舎へと向かう。

校舎の前に来た。
もう誰もいないはずの時間なのに電気がついている。
雪菜がドアに手をかけて、開ける。そして絢香を招き入れたタイミングで…
「おっ雪菜!と絢香ちゃん!練習お疲れさま!」

男性の声がする。
思わず顔を上げると雪菜の彼氏が立っていた。
おそらく雪菜がここを通ると思って待っていたのだろう。
「あっ」
慌てて絢香は強く押さえていた股間から手を離す。
それが致命的だったー。

ジョョョーーーーーーーーーージャバジャバジャバジャバ。
滝のようにおしっこが流れ落ちる。
もはや我慢していたのではなく、塞いでいたのではないかと思えるぐらい一瞬の隙をついて
おしっこが溢れてきた。
そして…ここまで本格的に出てしまったらもう止めることはできなかった。

こんなことなら…マックで恥ずかしがらずに行かせて貰えば良かった。
こんなことなら…坂道で諦めて茂みでしちゃえば良かった。
こんなことなら…。。。

絢香のお漏らしは校舎の入り口を黄色く染めてなおも広がり続けていた。

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